心の病気ガイド
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慢性頭痛

なんとかしたい慢性頭痛

慢性頭痛のつらさは、なった人でないとなかなか分からないものです。日本全体で840万人にものぼる患者がいる、と言われているにもかかわらず、周囲からは「ただの頭痛」と軽んじられ、我慢と鎮痛剤でしのいでいる人は本当に多いです。でも、どうか治療に前向きになってみてください。慢性頭痛は立派な病気だということが、近年あきらかになりつつあります。今回は「慢性頭痛」に悩むみなさんのお役にたてる情報をお届けします。

頭痛専門医を受診しましょう

『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス)などの著書で知られる頭痛外来の名医・清水俊彦先生(東京女子医大 脳神経センター)が週3日診療を行っているクリニックが東京都港区にあります。清水先生の診療日にはクリニックの待合室はもちろん玄関の外にまで患者があふれかえっており、初めて見る人は「なにごと?」と驚くそうです。

でも、頭痛外来と普通の病院と、どんな違いがあるのでしょうか?
頭痛外来はそんなに効果的なのでしょうか?

「頭痛の治療は、目に見えない〝痛み“を治す医療です。CTやMRIの検査で得られるのはごく一部の情報で、残りは患者さんの話などから推測するしかありません。だから手ごわいわけです。頭痛専門医の知識があって、かつ大勢の患者さんを診ていないと、むずかしいのかもしれませんね。なんとか地元の病院で診てもらえるように、僕も紹介状を書いたりしているんですが、頭痛の患者さんって頭痛がないときは元気ですからね、遠くても、待ち時間が多くても、僕のところへ戻ってきてしまいます」(清水先生)

このクリニックで清水先生が1日で診る患者の数はなんと300人です。

「初診は15人限定で、他の患者さんは再診です。慢性頭痛っていうのは面白くて、気候にものすごく左右されるんです。だからその日一番に受診した片頭痛の患者さんが、今日はこんなふうに頭が痛い、とおっしゃると、以降の患者さんもほぼ全員同じように言います。みんな同じなんですから楽ですよね。僕が一日300人診られるのは、そういう秘密があるんです」(清水先生)

このように、とにかく頭痛を積極的に治そうとしている人は大勢いて、頭痛の治療には頭痛専門医がいいらしい、ということはお分かりいただけるでしょう。頭痛専門医のリストは『日本頭痛学会』のホームページにのっています。地域によって医師の数にはバラつきがあり、近くに専門医がいないこともあるようですが、苦しんでいる方は、ぜひ頭痛専門医を受診してみて欲しいと思います。

鎮痛剤の常用は、新たな頭痛の原因

では、頭痛専門医を受診すると、どんなふうに診てもらえるのでしょう?診療の手始めは、頭痛の種類の鑑別です。頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に大別されます。

一次性は片頭痛や緊張性頭痛など、命に別状はないといわれる頭痛。
二次性は脳腫瘍やくも膜下出血など、放置すると、命にかかわることもある頭痛です。

それらの識別は問診に加え、CTやMRI、脳波検査などが行われるのですが、くも膜下出血や脳腫瘍などの危険な病変がなかった…となると、頭痛に詳しくないお医者さんの場合『ただの頭痛なので心配ないですよ』と言って、鎮痛剤を処方されてお終いにされてしまいます。

でも頭痛専門医は違います。
「片頭痛」なのか「緊張型頭痛」なのか「群発頭痛」なのか?といった見極めもするし、
「鎮痛剤」ではなく、「頭痛治療薬」を処方してくれたりもします。

実は、鎮痛剤を投与するだけでは、頭痛は治らないばかりか悪化してしまうからです。たとえば片頭痛は、ただの痛みではなく、水面下で脳が興奮状態を起こしている状態です。だから鎮痛剤で、表面的な痛みをごまかしているだけだと興奮状態はどんどん強くなり、蓄積されてしまうのです。

結果、毎日頭が痛いという薬物乱用頭痛や、長年の興奮状態が脳にこびりつき、耳鳴りや頭鳴(ずめい)、めまい、不眠など症状が慢性的に起こる脳過敏症候群に陥ってしまうケースも多々あり、頭痛地獄はどんどん深まるばかりです。

加えて、片頭痛持ちの人の脳梗塞になる率は、そうでない人の約10数倍なので慢性頭痛の人は、とにかく我慢せずに、頭痛専門医を受診するべきです。昨今はトリプタン製剤という、片頭痛の際に拡張した脳血管を元に戻し、かつ脳の興奮を抑える薬があります。我慢しないで、市販の鎮痛剤でごまかさないで、頭痛専門医で治しましょう。

頭痛ダイアリーと頭痛体操

ところで、頭痛専門医を受診する際、ほぼ必ずすすめられるのが『頭痛ダイアリー』の記帳です。『頭痛ダイアリー』とは、通院する際、自分の頭痛の症状を、できるだけ具体的かつ的確に医師に伝えるためのツールです。

そのメリットは、

患者にとって

•どんなきっかけで頭痛が起こるかを把握できる
•通院した際に、ご自身の症状を先生に伝えやすい

医師にとって

•より客観的な症状によって的確な診断が可能
•頭痛のタイプに応じた処方や服薬のタイミングが改善される

「慢性頭痛は、自分で治そうという心構えが大切です。医者が出来るのは、薬を処方するなどのお手伝いです。でも薬を的確に飲むのにも、頭痛ダイアリーで、ご自分の状況について知っておくことが重要なんです」と、頭痛ダイアリーを考案した、『埼玉国際頭痛センター』のセンター長、坂井文彦先生はおっしゃっています。

坂井先生は『頭痛体操』というのも考案しています。これは、片頭痛の予防、特に慢性化の予防や治療に効果的な体操です。とっても簡単なので、「本当に効くんですか?」と不思議な気もしますが、実際効果はあるそうなので、ぜひ、だまされたと思ってやってみてはどうでしょう?
「頭痛体操」とネットで検索すればすぐ出てきます。セルフケアにどうぞ活用してみてください。

まとめ

慢性頭痛は、CTやMRI等の検査では異常が発見されないため「病気ではない」と思われがちですが、実は立派な病気です。放置すると、悪化するだけでなく、脳梗塞になるリスクが高いというデータもあります。
よって
◎「ただの頭痛」と我慢せず、頭痛専門医を受診しましょう
◎セルフケアには『頭痛ダイアリー』と『頭痛体操』がおススメです
の2点を覚えておいてください。